矢野経済研究所(東京都中野区)は8月4日、家庭用および企業・業務用の定置用蓄電池(Energy Storage System =ESS)世界市場の調査結果を発表した。2024年の市場規模は、メーカー出荷容量ベースで家庭用が1万3687MWh、企業・業務用が5733MWhだったと推計している。
家庭用および企業・業務用ともに、自然災害や異常気象に起因する停電リスクに備えた非常用電源用途や事業継続計画(BCP)対策に加え、電気料金負担の軽減を目的としたピークカット・ピークシフト需要、政府・自治体の各種インセンティブ制度が追い風となった。こうした状況は継続しており、2025年の市場規模は、家庭用が前年比13.7%増の1万5557MWh、企業・業務用が同13.7%増の6520MWhを見込む。
家庭用市場では、固定価格買取制度(FIT)の買取価格が低下していることから、自家消費への関心が高まり、蓄電池の導入につながっている。日本・欧州・北米といった、戸建て住宅を主体とした居住形態が形成され、かつ家庭用電気料金が比較的高水準の地域での導入が増加している。一方で、こうした地域での普及率は、太陽光発電システムを保有する家庭のうち少数に留まっており、今後の導入拡大へ大きな成長余地があると考えられるという。
企業・業務用市場では、北米(特に米国)、欧州、中国を中心に拡大を続けている。BCP対策としての需要に加え、商用系統による電力料金が上昇していること対応するピークカット・ピークシフト需要があるほか、主要国政府による補助金や税制優遇措置などのインセンティブ制度が成長を後押しする見込み。加えて、AI(人工知能)技術の発展や暗号資産関連企業の拡大により、データセンターの新設・増設に伴う電力安定供給のニーズが市場拡大を支える要因のひとつになると予測する。
これらの背景から、2033年の市場規模は、家庭用が5万3740MWh、企業・業務用が1万5939MWhになると予測する。