千葉市の幕張メッセで新エネルギーに関する展示会(第24回スマートエネルギーWEEK・秋)が9月17日~19日の会期で開催されている。太陽光発電では、BIPV(建材一体型太陽光)の展示が目立つほか、太陽光パネル清掃や使用済みパネルのリサイクル関連など、既設太陽光発電の経年数が経つことに対応し、サプライチェーン全体にビジネス機会が広がってきている様子がうかがえる。
新設ビジネスでは、系統用蓄電池の開発サポートに関するアピールが目立つ。RE100電力(東京都中央区)は、具体的な案件紹介のほか、系統用蓄電池事業で陥りやすいトラブルなどを解説し、「意外に初期不具合が多いので蓄電池システムの選定は慎重に」「需給調整市場の収益環境は参入が増えると悪化していく可能性が高い。収益機会を幅広く想定していくべき」などのアドバイスに多くの聴衆が耳を傾けていた。
太陽光に関しては、設置場所の多様化が目立つ。大和ハウスグループが、駐車場屋根のほか、柵塀タイプの垂直設置型太陽光「ソーラーフェンス」を参考出品した。ソーラーカーポートに併設した場合、敷地あたりの出力が3割増えるという。BIPV(建材一体型太陽光)では、韓国のBIPV korea、中国のEinnova Solarlineなど、壁面や瓦タイプなどデザイン性に優れた商品を展示し、今後、建物に対する省エネや太陽光設置を促す政策が強化されていくことを睨み、製品開発や設置実績をアピールしている。
また、運用や保守にITを駆使する動きも出てきた。固定価格買取制度(FIT)からフィード・イン・プレミアム(FIP)に移行して蓄電池を設置するなど、事業性評価や需給調整が複雑化しているのに対応し、高度なITを駆使したベンチャーが太陽光分野で事業機会を広げようとしている。Sassor(サッソー、東京都渋谷区)やTensor Energy(テンサーエナジー、福岡市)がそうで、いずれも「FIP転+蓄電池」をサポートするという。
また、TMEIC(ティーマイク)は新たに製品化した125kWの小容量パワーコンディショナー(PCS)を手始めに、O&M(運用・保守)サポートでチャットボット(Chatbot)システムを導入、365日・24時間でのオンライン受付を可能とし、全国の最寄り倉庫から代品を出荷するという。
蓄電池システムに関しては、現在主流のリチウムイオン電池のほか、次世代型の展示も出てきた。住友電工は、劣化に強く安全性の高いレドックスフロー電池の実績を展示。中国のWelion New Energy Technology(ウェリオン・ニューエナジー・テクノロジー)は、リン酸鉄型リチウムイオン(LFP)の電解質を9割まで固体に置き換えた方式を「固体電池」として商品化している。TMEICは「重力蓄電システム」のイメージ模型を展示した。重りを斜面で上下させることで充電と放電を行う仕組みで、ここ数年内に出力1MWのシステムで実証し、その後、さらに大規模化して商用化を目指すという。