東京都と小笠原村、東京電力パワーグリッド(東電PG)は、8月29日から母島おいて、再生可能エネルギー100%による電力供給に向けた実証を開始する。母島内に太陽光発電所と蓄電所を設置し、1年のうち半年程度を視野に太陽光発電のみの電力供給を可能にする。
出力718kWの「評議平太陽光発電所」と、出力774kWの「御幸之浜太陽光発電所」、最大容量7815kWhの「母島蓄電所」を設置した。従来用いていたディーゼル発電機(240kW×4機)と併せてエネルギー管理システム(EMS)で運用・制御する。
太陽光発電所の太陽光パネルはカナディアン・ソーラー製、パワーコンディショナー(PCS)は明電舎製を採用。蓄電所の蓄電池はGSユアサ製、VSG(仮想同期発電機)型インバーターは明電舎製。EMSは東光高岳製。VSGとEMSは東電PGが共同開発し、大規模な停電を抑制する新技術を搭載した。
一般的に太陽光発電などの再エネ比率が高い場合、天候による発電量の変化などによって大きな周波数変動が発生し、大規模停電などに波及する恐れがある。VSGは、従来型インバーターが持たない慣性力を模擬することで、再エネ100%供給時でも周波数変動を抑え、安定した電力供給を実現したという。
また、再エネ比率が増加すると、短絡事故など電線異常が発生した際、事故検出が難しくなり、広範囲の停電につながる恐れがある。VSGによる断続的な短絡電流供給技術と新型リレーにより短絡事故発生時に事故箇所を検出し、その部分だけを切り離すことで、事故が発生していない健全区間の電力供給を継続できるという。
このほか、太陽光パネルなどの設置場所は、世界自然遺産区域外の都有地を活用し、自然環境調査や小笠原の自然環境の専門家の意見なども踏まえ、自然や景観に十分配慮しながら選定した。実証期間は2028年8月までの3年間の予定。
島しょ地域における脱炭素に向けて、東京都では「ゼロエミッションアイランド」、小笠原村では「自然と調和したサステイナブルアイランド」の取り組みを推進している。今回の実証は、両取り組みの一環となる。