山梨県は、7月22日から有機薄膜太陽電池を活用したブドウ栽培の実証実験に取り組んでいる。太陽光発電の電力を蓄電池に充電し、夜間にLEDライトを照射することで、ブドウの着色を向上させる。公立諏訪東京理科大学との共同研究になる。
実証実験では、ブドウ園の簡易雨よけに有機薄膜太陽電池を設置した。有機薄膜太陽電池は、緑色の光で発電し、植物の育成に有効な青色と赤色の光を透過する。ブドウ園では、山梨県が開発した赤ブドウのオリジナル品種「サンシャインレッド」を栽培する。
大きさ1.0m×0.3mの有機薄膜太陽電池を20枚設置した。接地面積は6m2。厚さは0.3mm(発電層は数百nm)、重さは0.4kg/m2。透過率や発電量、発電効率などは、実証実験を通じて検証する。デザインソーラー(神奈川県横須賀市)が開発・製造した。
有機薄膜太陽電池は、軽量薄型で光を透過するほか、鉛やスズを含まないため安全性が高いのが特徴。さらに透過する光の種類を制御できるため、農業分野での応用も期待されている。
2027年まで同実証を続けて実用化につなげていく予定。山梨県では、薄膜太陽電池の電気を使って水素を製造し、その水素を農業用ハウスの加温に使うシステムを構想しており、これらの取り組みを通じてカーボンフリー農業の先進県として先進モデルを構築する。