定置用蓄電池の世界市場、2025年は5兆円超に

富士経済(東京都中央区)は9月10日、定置用蓄電システム向け蓄電池の世界市場の調査結果を発表した。2025年の同市場規模は5兆246億円の見込みで、2045年は2024年比3.8倍の13兆7938億円に達すると予測する。

 電池種別では、リチウムイオン電池が中心を占める。電動車両の普及により車載電池の量産化に伴う共通部材や周辺部材などで調達コストが低下し、低価格化が進むため金額ベースの市場規模が小さくなり、全体に占める比率は低下すると見られる。また、レドックスフロー電池やナトリウムイオン電池の採用が増え、レドックスフロー電池は2割弱、ナトリウムイオン電池は1割強を占めると予想される。

 分野別では、系統・再エネ併設分野が大半を占め、2025年は3兆5343億円(うち系統用蓄電システム向けは2兆3013億円)、2045年は同5.1倍の11兆734億円(同9兆1112億円)と予測する。各国で電力市場制度が整備され、系統用蓄電システムの需要が高まり、異業種からの参入も相次ぐことで市場が急拡大している。また、再エネの導入量拡大・電力需要の増加に伴い、短・長周期とも調整力のニーズが顕在化し、大幅な導入増加が予想される。

 日本市場では、太陽光発電所の運用における出力抑制対策や収益性向上の観点から、固定価格買取制度(FIT)からフィード・イン・プレミアム(FIP)への移行とともに蓄電池システムを併設するケースが増加している。また長期的には、洋上風力発電所案件の立ち上げに伴う併設蓄電システムの導入増加や、再エネ導入量拡大に伴う調整力・系統混雑緩和ニーズの高まりなどによる導入増加が予想される。

 業務・産業分野では、2025年は1590億円の見込み、2045年は同6.7倍の8558億円と予想する。レジリエンス・BCP(事業継続計画)対策といった非常用電源ニーズ、電気代上昇による自家消費ニーズの高まりなどから世界的に導入が拡大している。

 日本では、300kWh未満のシステムでは自治体施設や文教施設での導入が多く、300kWh以上のシステムでは民間企業のほか自治体・公共施設でも各種補助金制度の創設により導入が進んでいる。さらに2026年度から産業施設における太陽光発電設置義務化の動きもあり、蓄電池システムの導入機運がさらに高まると予想される。

 UPS(無停電電源装置)・基地局分野では、2025年は7346億円の見込み、2045年は同80.0%増の1兆2492億円と予測する。クラウドサービスやデジタル化、AI(人工知能)技術の進展、5Gネットワークの構築などに伴い、データセンター向けUPS需要が旺盛で、今後は5Gや6G基地局の建設投資の拡大とともにバックアップ電源需要の伸びが予想される。

特別声明:本サイトは他の機関やウェブサイトから転載されたコンテンツを引用し、より多くの情報を伝達するためであり、利益を得るためではありません。同時に、その観点に賛成したり、その記述を確認したりすることを意味するものではありません。コンテンツは参考のためだけです。 著作権は原作者に帰属しますので、侵害があれば、当サイトに連絡して削除してください。